※取材当時の旧社名表記で掲載しています。
業界を取り巻く社会環境の変化や、お客様のさらなる期待にお応えしていきたいという考えから、『ヒトと地球(ホシ)の、明日(あした)の笑顔をデザインしつづける。』という新たなパーパスを定めたオンワード商事。本記事では、オンワード商事がどのようにパーパスを体現しているのかを、実際のプロジェクトの事例をもとに、お客様と弊社担当営業との対談を通じてご紹介いたします。
今回対談のお時間をいただいたのは、2022年春から導入される新制服の企画・製作を行った筑波大学附属坂戸高等学校様。オンワード商事の提案をご採用いただいた理由や、実際の製作においてこだわったポイント、今後の展望など──。対談を通じて、新制服に込められた想いを様々な切り口から伺うことができました。
- プロジェクトの概要
目 的筑波大学附属坂戸高等学校の特徴や魅力を捉えた新制服の立案・製作
結 果フォローダイバーシティをコンセプトに同校の「多様性」を表現した新制服の誕生
一方的な提案ではなく、共に創り上げていった新制服
熊倉様:最初にオンワード商事の森田さんとお会いしたのは、2021年の夏頃でした。当校では3年周期を目途に制服製作の依頼先の見直しに入るのですが、長年同じ企業さんとやりとりを続けていた中で、タイミング良く森田さんから「新制服を作りませんか」というご提案をいただいたのが、今日の関係にもつながっているきっかけです。
森田:弊社としては、元々別の担当者が筑波大学附属坂戸高等学校様の副校長先生に一度ご挨拶させていただいていた経緯があります。その後、熊倉先生が同校の広報活動や生徒募集などをご担当されていると伺ったため、私も一度ご挨拶したいと思っていたんです。一方で、ただお時間をいただくだけでは失礼なので、既存の制服のことや学校の特徴などを私なりにリサーチした上で、新制服を同校の魅力を伝えていく一つのツールとしてご活用いただくことをご提案させていただきました。
熊倉様:当時はオンワード商事さんとのつながりが全く無かったので、実は最初にいらしていただいた時には、いわゆるイチ営業さんとしか捉えていなかったというのが正直なところでした。ただタイミングが良かったこともあり、せっかくならとご提案いただいた結果、そのプレゼン内容の素晴らしさに驚いたんです。何よりも感銘を受けたのは、新制服の企画にあたって掲げていただいたコンセプトと、当校ならではの「多様性」をいかに制服のデザインに落とし込むのかというアイデアの部分。この点が、他の教職員を含めて校内でも高い評価を集めました。50年ほど既存の制服を続けてきた中で、そのデザインを変えるというのは大きな決断でしたが、そこには今回の新制服を当校が採用するに至る大きな必然性を感じることができたんです。
森田:ありがとうございます。「多様性の表現」というご提案に至った背景には、弊社の企画担当やデザイン担当と共に、筑波大学附属坂戸高等学校様の校内見学をさせていただけたことも影響しています。同校内では、日頃から様々な国籍の方々が楽しそうに会話をされていたり、様々な専門教科があって幅広い学びが提供されていたりと、まさに多様性が体現されていることを肌で感じることができました。加えて、熊倉先生から直々に同校の魅力や他校との違いなどを伺えていたことももちろん大きなポイントです。私としましては、独自に弊社が提案させていただいたというよりも、勝手ながら、熊倉先生がいらしたからこそ一緒に創り上げることができたコンセプトであり、そして新制服であると感じています。
様々な色彩の糸を織り込むことによって多様性を表現
熊倉様:ご提案の内容として特に魅力を感じたポイントは、様々な色彩の糸を織り込んだオリジナル生地によって、当校の特徴とも言える多様性を表現するといったストーリーの部分です。パッと見は伝統性をも感じられるネイビーのブレザースタイルですが、それを構成しているのは、実は赤色や茶色、青色といった色とりどりの糸たち。決して奇抜ではないけれども、よくよく見るとオリジナリティがあり、かつ他校とも差別化を図れているという点が、私としてはグッときました。細かい部分で言えば、当校では制服と私服との組み合わせを日頃から楽しむ生徒も多いため、私服とのコーディネートのしやすさという点でも魅力は大きかったです。
森田:杢紺と呼ばれる色彩のオリジナル生地は、今回のご提案において我々としても特に重要視していたものでした。温かみがありつつ、複雑性も持ち合わせており、かつ遠目にはしっかりとした紺色に見えることがその特徴。加えて今回の新制服は、弊社が展開しているブランドの一つである「J.PRESS」とのタイアップであることもポイントでした。J.PRESS自体が、長年多くの方に愛されてきたブランドでもあります。同じように長い歴史を持ち、2026年で設立80周年を迎えられる筑波大学附属坂戸高等学校様とJ.PRESSとの間には、きっと大きな親和性があると感じていたんです。私服とのコーディネートのしやすさについても、デザイナーと一緒に試行錯誤を重ねて形にしていくことができました。
熊倉様:実際の製作過程において、「御校はこういった点が魅力だと思います」「その魅力をこのように表現するのはいかがでしょうか」など、森田さんからその都度様々なアイデアをいただけたことはとても嬉しかったですし、それによって我々自身も、自校の魅力を改めて客観視していくことができました。新たな制服にその魅力をいかに反映していくのか、漠然とした想いの中から具体的なイメージを少しずつ言語化していくことができたのも、森田さんのおかげだと思っています。本当に何回もやりとりをしましたよね。
森田:そうですね。面と向かってのご相談とお電話でのご相談を含めれば、30回くらいはやりとりをさせていただいたと思います。私自身、実は対企業様ではなく対学校様へのご提案をさせていただいたのは御校が初めてだったので、特に思い入れも強く、今となってはコンセプトの策定から実際のご提案に至るまで、ちょっと前のめりになってしまっていたかもしれません。
熊倉様:そもそも自社のデザイナーさんを引き連れて学校見学にまで来ていただける企業さん自体がほとんどないので、ここまでしてくれる熱い人がいるんだなという風には思っていましたね。そんな森田さんだからこそ、当校のことを誰よりも理解し、魅力的な新制服を提案してくれたんだなと今では思っています。
森田:そうおっしゃっていただけると大変嬉しいです。ありがとうございます。
より広い学びの場の共創に向けて
熊倉様:オンワード商事さんからは、新制服のプレゼン時に当校の教育活動のバックアップについてのご提案もいただいているので、新制服に留まらない今後のさらなる共創も楽しみにしています。例えば、当校は3月に修学旅行でインドネシアや東南アジアなどの海外に行くことがあるので、そのタイミングでオンワード商事さんが現地に持っている海外工場を見学させていただくなども実現していきたいです。その他、今後は3年生が卒業をするときにオーダーメイドのスーツを作るといった機会も用意していけたらいいなと考えていますね。新制服だけでなく、当校の掲げる教育理念の実現を強力にバックアップしてくれるパートナーとして、ぜひお力添えをいただけたら嬉しいです。
森田:オンワード商事としましても、プレゼン時にご提案した内容はもとより、筑波大学附属坂戸高等学校様との学びの場の共創には今後ぜひ取り組ませていただきたいです。例えば、会社として近年力を入れている再生繊維の活用に関する新たな取り組みなども、学びの場として今後ご提案できるのではないかと考えています。それこそ高校3年間に留まることのない、生徒の方々の未来にもより広がっていくような教育の場をご提案していくために、オンワード商事には何が出来るのか──。私個人もその可能性にはとてもワクワクしていますし、弊社としても御校との共創を通じて多くのことを学ばせていただければ、これほど嬉しいことはありません。
- 筑波大学附属坂戸高等学校様について
校訓は「自由・自律・自覚」。“社会とのつながり”や“グローバル教育”を軸とする総合学科として、農業や福祉などの専門教科授業を幅広く展開。生徒たちは2年次より、「生物資源・環境科学科目群」「工学システム・情報科学科目群」「生活・人間科学科目群」「人文社会・コミュニケーション科目群」のいずれかに所属し、科目群によって指定された選択必修科目および自由選択科目を履修することが可能。