※取材当時の旧社名表記で掲載しています。
業界を取り巻く社会環境の変化や、お客様のさらなる期待にお応えしていきたいという考えから、『ヒトと地球(ホシ)の、明日(あした)の笑顔をデザインしつづける。』という新たなパーパスを定めたオンワード商事。本記事では、オンワード商事がどのようにパーパスを体現しているのかを、実際のプロジェクトの事例をもとに、お客様と弊社担当営業との対談を通じてご紹介いたします。
今回対談のお時間をいただいたのは、宮城県仙台市を中心に交通事業等を展開されており、地域の方々からの信頼も厚い宮城交通株式会社(以下宮城交通)様。2020年10月1日で創立50周年を迎えられ、周年事業の一環として制服の改定を行われた宮城交通様に、新制服に込めた想いや、実際の着用がスタートされてからの社内の反応・変化等を伺いました。
※取材時のみ、マスクを外していただいております。
- プロジェクトの概要
目 的50周年事業の一環として、革新的なデザインや機能性を兼ね備えた新制服の立案・製作
結 果一過性のトレンドに左右されない、ジェンダーレスかつ高いデザイン性と機能性とを誇る新制服の誕生
“新しさ”と“王道”の両軸から生まれたコンセプト
宮城交通様:弊社の創立50周年に際し、地域のお客様や取引先の皆さまへの長年の感謝はもちろんのこと、創立100周年までの次の50年に向けた決意も込めてスタートしたのが50周年事業でした。新型コロナウイルスの影響もあり、記念祝賀会や記念コンサート等、予定していた企画の一部は残念ながら中止を余儀なくされてしまいましたが、その一方で、地域の皆様にご参加いただいたバスのラッピングイラストコンテストや、50周年ロゴマークの策定、社史の発行等は無事実施することができ、とても嬉しく思っています。そして、この50周年事業で皮切りとなったのが、従業員の制服リニューアルです。もともとお取引のあったオンワード商事様に、「ぜひご提案をいただけませんか」とお声がけさせていただきました。
オンワード商事:誠にありがとうございます。宮城交通様とは、ガイド職の制服や夏物シャツの納品等で長年お取引をさせていただいており、「ユニフォームの更新やアイテムの追加等のご要望があればぜひご提案させてください」とお申し入れもさせていただいていたので、今回お声がけいただけたことは大変嬉しく思っています。たしか、「新制服へのリニューアルを考えている」と最初に伺ったのは、2018年の10月頃でしたね。
宮城交通様:そうですね。弊社としては15年ぶりの制服リニューアルということもあり、何よりもイメージを変えたいという希望がありましたので、まずは「革新的なデザインであること」、そして「機能性に優れていること」を踏まえたご提案をお願いしました。加えて、地域の皆様の目に一番触れるものが従業員の制服ですので、「お客様に親しんでいただけるデザインであること」等も、併せてお願いさせていただきました。
オンワード商事:実際にオリエンをいただいてからは、我々自身が宮城交通様をより深く知るためにも、まず宮城交通様の特色の理解や既存の制服の分析等からプロジェクトをスタートしました。そしてご提案させていただいたのが、『Neo-Authentic(ネオ・オーセンティック)』というコンセプトです。“新しい”という意味の「Neo」、そして、“本物・王道”等の意味を持つ「Authentic」。このトータルコンセプトに基づき、これまでにないような新しいデザイン性と機能性とをプラスし、加えてジェンダーレスのデザインとすることで、宮城交通様の次の50年にふさわしい新たな制服の実現を目指しました。
新制服がもたらした従業員の意識の変化
宮城交通様:弊社の要望である「革新的」という部分を踏まえ、色味や素材まで幅広くご提案いただくことができたのは、とても良かったと思っています。特に機能面では、以前の制服に比べてストレッチ性が高かったり、着心地が優れていたりと、最初の提案から私たちの要望を高いレベルでクリアいただきました。新制服の製作にあたっては従業員からアンケートをとっていたのですが、一番多かった要望が「着心地」。出勤から退勤まで、休憩も挟むと長い時で10時間以上着続けることもあるため、「一日着続けても疲れない制服がいい」という要望が非常に多かったんです。そんな背景もあり、特に好評だったのは“魔法のウエスト”の部分。見た目ではわからないけれど、実はウエスト部分にゴムが隠れている仕様のパンツは、着心地に加えて見栄えも良く、従業員にとても好評でした。
オンワード商事:ありがとうございます。機能性につながる生地の選定やウエストゴムの仕様をはじめ、細かい部分では、ジャケットのボタンは一つがいいのか二つがいいのか、ボタンの刻印はどうするか、刺繍の糸の色はどうするか等も、一つ一つこだわらせていただいた部分です。シャツのデザインにつきましては、宮城交通様の発案から形にさせていただいたものもありますね。
宮城交通様:デザイン面は、弊社のこだわりが非常に強かったこともあり、何度も何度もサンプルの作成をお願いしてしまいましたね。「一般的な紺色だと、以前の制服との違いがわかりづらい」「チャコールは素敵だけど、最近のトレンドだから斬新さが足りない」等──。今思えば、オンワード商事様にはちょっとご無理を言ってしまっていたかもしれません。
オンワード商事:とんでもありません。宮城交通様の新制服に対する想いがそれだけ強かったということなので、我々としても気を引き締めて製作を進めさせていただきました。あらゆる世代の方にマッチする制服でなければならないことや、着用いただく方々に誇りを持っていただける制服でなければならないこと等をその都度再認識しつつ、試行錯誤を重ねていったことが結果として、高いレベルでの『Neo-Authentic』の実現にもつながったのだと考えています。
宮城交通様:新制服の着用が始まってからは、従業員一人ひとりの宮城交通社員としての自覚がより強くなったように感じています。実は、新制服の着用が始まってからというもの、社内で「ダイエットが流行りだした」という話もありまして。詳しく聞いてみると、以前の制服は比較的ダボっとしていたのであまり気にしなかった従業員が、「新しい制服はスッキリしているので、痩せたほうがカッコいい」と、ダイエットを始めたらしいんです。もちろん、新制服はふくよかな人でも似合うデザインではあるのですが、健康経営を掲げる当社にとっては相乗効果をもたらした想定外のエピソードであり、面白かったです。
オンワード商事:初めて伺いました。そういったエピソードをいただけると、提案させていただいた我々もとても嬉しくなります。ありがとうございます。
未来を見据えて制服を進化させていきたい
宮城交通様:従業員には引き続き、この新制服を身につけることで、日々の業務に気を引き締めて取り組んでほしいと願っています。また、バスの運転士という仕事は地域の方々の目に触れる機会が多い存在でもありますので、今後は地域のお子さまたちに、「バスの運転士ってかっこいい!」「将来は運転士になりたい!」と憧れてもらえるような企業としても成長していきたいですね。この新制服が、そのトレードマークとしてより浸透していったら嬉しいです。もちろんそのためには、今の制服が完全だと思い込むのではなく、未来を見据えて少しずつ進化を繰り返していくことも重要だと考えています。細やかなブラッシュアップを重ねていく上でも、オンワード商事様とはお付き合いを続けていけたら嬉しいです。また、制服のリサイクル等についてもオンワード商事様と意見交換しており、SDGsやサステナビリティといった観点からも、ぜひ様々な意見交換をさせていただければと思っています。
オンワード商事:ありがとうございます。我々としましては、まず宮城交通様のような地域に親しまれ、知名度も高い企業様とこうしてお取引させていただいていることに、改めて感謝申し上げます。この新制服を見た地域の方々に親しみを持っていただき、さらには着用いただいている従業員の皆様に少しでも着やすさや働きやすさを感じていただけているのであれば、これ以上の喜びはありません。SDGsやサステナビリティに関するお取り組みに関しましても、まさに弊社が掲げているパーパスと親和性が高いものですので、お力になれることは数多くあるのではないかと思っています。ぜひ今後とも、よろしくお願い申し上げます。
- 宮城交通株式会社様について
路線バス・高速バス・貸切バス等の運行を通じて、“人・地域・心を結ぶ真心サービス”を提供。グループとしては、自動車整備事業や旅行業、自動車教習事業等も手掛ける。2021年度には、新たな中期経営計画「Change Action!」を策定。次の50年に向け、交通事業を主軸としながら総合的な事業展開を目指す。